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能の扉 ~あなたは能の魅力に目覚めるか!?~

伝統芸能カレッジ

こんにちは。
クルミドコーヒー/胡桃堂喫茶店 店主の影山です。

 

みなさん、能ってご覧になったことありますか?
自分、何度かあります。が、必ず寝てしまいます(すみません…)。さっぱり分かりません。ですが、能には何かあるってずっと思ってもきました。能を大成したと言われる観阿弥、世阿弥が14世紀の人ですからね。600年以上にわたって歴史、様式、哲学がつながってるってとんでもないことだと思います。

 

そこに込められた死生観や精神性、美意識、身体技法、音楽、舞台装置や小道具に至るまで、一つ一つに間違いなく深い世界があって、日本人であればこそ尚のこと感じ取れる情動や、ひたれる境地がそこにはきっとある。──そんな風に想像してはきました。自分の敬愛するミヒャエル・エンデが能のファンだったり、中国系カナダ人の友人が実際に能をやっていたり、近くに能の話題が迫ってくるたびに、ああー、自分には分からないーと嘆息とともに残念に思ってもきたのです。

 

そんなとき、今回カレッジマスターを務めていただけることになった田村民子さんにお会いしました。
 

「影山さん、能、きっとはまると思いますよ」

「ですかねー。やっぱり? そうなんじゃないかなって予感はずっとあるんですけどね」

「ええええ、じゃあ、能の沼まで、お連れしますよ」
 
そうして本カレッジが企画されたのでした。

 


自分は今、49歳。今年の8月で50歳になります。
ですので、今回のカレッジの(勝手な)副題は、「影山知明49歳。50になるまでに能の魅力に目覚めるか!?」です。
せっかく日本に生まれ日本に育ったのだから、この国独特の、唯一無二の文化を感じたい。能を分からないまま死んでしまう人生はイヤだ。そんな思い。

 

「初心忘るべからず」
「男時・女時」
「離見の見」
「秘すれば花」
「よき劫の住して、悪き劫になる所を用心すべし」

 

そして、これからの世界を思い描くとき、世阿弥の『風姿花伝』や『花鏡』に語られる上記のような教えは、きっと大きな拠りどころの一つになる。「花」ってなんだ? ぼくらのご先祖さまたちは何を感じ、何を考えたのか。一つの様式を600年以上にもわたってつないできたエネルギーの源はなんなのか。
 
これは自分にとっても、とんでもなくありがたいチャンスだと思っています。
 
実際、田村さんは、これでもかという充実の連続講座を組み立ててくださいました。
国立能楽堂、梅若能楽学院会館のご協力を得て、実施の能舞台を肌で感じることができます。方や座学では、実際の能楽師さんや小鼓奏者さんから直接の手ほどきをいただける。さらには、名人と謳われた故55世梅若六郎のお孫さんにしてシテ方観世流能楽師・梅若紀彰(うめわかきしょう)さんご指導の下、実際の舞台で能の型を習うという体験ワークショップまで。
 
講座概要、是非ご覧になってみてください。
半年でここまで多角的に、それでいて深く、能を全身で──心と体と頭とで感じられる機会はそうそうないのではないかと思います。能のよさは分からない、なんなら観に行ったこともない、でもそこには何かある気がしている。そんな方にとっては、最高の導入路になると思います。しかもそこには、その道をともに行き、道中の感慨を分かち合える仲間がいる。
 
人生を変える半年になるかもしれません。
能の扉、ご一緒に開いてみませんか。

 


講座概要

みなさん、はじめまして。
「伝統芸能の道具ラボ」という活動をしている田村民子です。
 
今は、すっぽりとお能の沼にはまっている私ですが、その面白さに目覚めたのは、30歳を過ぎてからです。それまでは、ムズカシソウ、カタクルシソウという(自分が勝手に作った)大きな壁があって、縁が無いものだと思っていました。でも、影山さんと一緒で、お能にはなにか秘めたすごいものがある、きっと日本文化のおへそみたいなものだとは感じていました。
 
どうやったらその秘密の花園に入れるんだろう…。
すぐそこにありそうなのに、なかなか入り口がみつからない…。
私はひとり、その壁のまわりをぐるぐる回ったり、ちらちらとのぞき見る感じでちょっとずつお能に近づいていきました。能って、入口は見つけづらいし、その重い扉を開くことができても、しばらくは細くて暗い道をとぼとぼ歩かなきゃならないところもある。私はシツコイからそれをやりましたけど、気楽な感じで道先案内をしてくれる人がいたらいいのになぁって思いました。
 
この講座は、そういう私の経験を下敷きにして組み立ててみました。こんなプログラムだったら能をまだ見たことがない人、見たことはあるけれどなんかピンとこない人も、キャッ、キャしながら能の渦に気持ちよく巻き込まれていくんじゃないかなと。
 
能は、教養や知識があるほうが深く掘り下げられますが、なんの予備知識もなく感性だけで見ても充分に楽しめます。ふところは意外と広い(笑)。まずは、いろんな先入観をバサーッと捨ててください。そして、お能を自分の好きなように、自由に楽しみましょう。これがこの講座のテーマです。他人とか、気にしない。わからなかったらどうしよう!って思うから、楽しめなくなるところもあるんですよね。私は能の専門家ではないので、わからないコトだらけのままですよ。わからないことも、みんなで共有しながら気楽にやっていきましょう。
 
実は、この講座を始めるにあたって、個人的な企みもあります。
私は能や狂言、歌舞伎、文楽など伝統芸能で使われる「道具」を支援する活動をやっています。なにしろ昔の芸能なので、使われる道具も古めかしいものばかり。日常生活で使わないものばかりだから、製作技術の継承が危うくなっているんです。ですから、この講座でもちょこちょこ「道具」に光を当てています。ここで仲間になるみなさんからも、道具を未来につなぐための知恵をいただきたいなって、期待しています。
 
4月から、みなさんと一緒に学べることを心待ちにしています。
 

第1講 座学1 導入:能ってなんだろう?

参加者のみなさんの顔合わせをしながら、能の謎をはきだしたり、ミヒャエル・エンデがどんな風に能に惹かれていたのかを想像したりして語り合いましょう。田村からは、能のどんなところをおもしろがっているのかもお話ししたいと思います。ちょっとだけ書いてみると、勝った武士より敗者の武士の物語が魅力!今の世の中の勝ち組とは逆の人たちに光を当てているっておもしろい視点です。それに能の世界は、70代、80代がスーパースター!50代はハナタレ小僧っていわれていて、老いたほうがおもしろい芸ができる。などなど。
能にまつわる道具も、扇や謡本(うたいぼん)なども見てもらえたらと思っています。
能が語源になった現代の言葉:ノリがいい/芝居/番組/五人囃子/三拍子そろう/檜舞台
・参考資料
  -能の初心者用の参考本 
  -能楽用語 
  -檜書店note
 

第2講 能を見る1 実際に能を見てみよう+感想交換会

 

 
 国立能楽堂 4月8日(土)昼公演 能「雲林院」、狂言「引括」 *概要
 
能を一度も観たことがない人もいると思うので、まずはみんなで能を見に出かけます。色眼鏡をかけず、なんの予備知識もないまま素直に見る体験も大切にしてほしい。だからあえて事前に情報はお伝えしないようにします。いろいろなことが頭に入ってしまうと、味わえなくなる感動もあるんですよ。今だけのその経験や感覚、違和感も大切にしてほしいのです。あるいは、「やっぱり全然わからない」という場合もある。どんなところがわからないのか。なにをわかろうとしたのに、わからなかったのか。感想交換会では、そうした疑問や謎をみんなで共有していきます。
・国立能楽堂(千駄ヶ谷)には、飛行機の座席モニターのような字幕表示もあります(字幕を表示させるか、させないかは個人で選べる)。
・感想交換会は、国立能楽堂内の喫茶室にて実施します。

 

第3講 座学2 能楽師って、どんな人?

 

 シテ 川口晃平
 
実力ある若手能楽師として活躍中の川口晃平さんをお迎えして、お話しをうかがいます。どのように稽古をして本番を迎えるのか。知っておくと理解が深まる能の約束事、能装束や扇などの道具は、能楽師にとってどのような存在なのかについてもたっぷり語っていただきます。能の謡(うたい)も短いフレーズをプチ稽古していただき、みんなで声を出して謡ってみます。
 
▽川口晃平(かわぐち・こうへい) twitter
慶應義塾大学在学中に能に魅せられ能の道を志す。能楽普及レクチャーもユニークでわかりやすいと定評がある。梅若会所属。小金井市出身。漫画家かわぐちかいじの長男。
 

第4講 能の世界に足を踏み入れる(国立能楽堂)

国立能楽堂(東京・千駄ヶ谷)の舞台裏をみんなで巡るバックステージツアーです。出演する能楽師たちが控える楽屋(広い畳の部屋)を見学する他、稽古用の能舞台の上を歩いてみる体験や、国立能楽堂が所蔵する道具(装束、小道具)を見たりして、能がどうのようにして上演されていくのか舞台裏を体感していきます。
・国立能楽堂:ウェブサイト
 

第5講 座学3 古典文学と仲良くなる

能は『源氏物語』『平家物語』など古典文学を下敷きにして作られた作品が多くあります。この2つをざっくり知っておくだけでも、能がぐっと身近になります。そして、能を大成させた世阿弥の代表作『風姿花伝(ふうしかでん)』にも触れていきます。
・参考:「鎌倉殿の13人」源氏編を振り返る(檜書店)
 

第6講 能をやってみよう

 会場:梅若能楽学院会館内の稽古舞台(東中野)
 先生:梅若紀彰さん(シテ方観世流能楽師)
 

 梅若紀彰
 
能楽団体「梅若会」の拠点・梅若能楽学院会館のなかにある稽古場で、足袋を履き、扇を持って、すり足や基本的な型を実際に体験してみます。服装は洋服でOK。紀彰さんのお稽古は、明るくやさしい雰囲気です。緊張しなくて大丈夫。上手とか下手とか気にしない、気にしない。少しでも自分でやってみると、能の舞台を見る目がずいぶん変わってきますよ。
・参考:梅若紀彰さん インタビュー記事「能はエキスパートたちが生み出す一期一会の世界」(よむナビ)
 
▽梅若紀彰(うめわか・きしょう)
1956年、故55世梅若六郎の孫として生まれる。4歳のときに『鞍馬天狗』の花見で初舞台を踏む。端正で優美な芸が高く評価される。古典のみならず新作能にも積極的に取り組み、幅広く活躍している。
 

第7講 座学4 不思議な不思議な、能の音楽

 講師:田邊恭資さん(能楽小鼓方大倉流)
 
能の音楽は、不思議だらけ。メロディが抽象的だし、謎のかけ声とかもあって、どんな風に聞いていいのかわからないという声も多いんです。能の音楽って、いったいどのような仕組みなのか教えてもらいましょう。そして、能で演奏される楽器の小鼓に注目。馬の皮で作られた小鼓という楽器の構造について実物を見せてもらいながら解説してもらいます。
 
▽田邊恭資(たなべ・きょうすけ) twitter
大学時代に能に出会い、国立能楽堂の研修生となる。人間国宝の大倉源次郎に師事。新潟市出身、千葉県在住。実力の高さが認められて、重要な舞台にも多く出演している。

 

第8講 座学5 道具を知ればもっと面白くなる

能は道具が少ない芸能ではありますが、だからこそひとつひとつの道具が重要になってきます。能の衣裳である能装束は、日本の織物の最高峰とも言われますし、能で使われる扇にもたくさん物語が詰まっています。それらがどんな人の手で作られているのかをお話ししていきます。
それから天狗の役が持つ「羽団扇(はうちわ)」は、近年、田村が集中して取り組んでいる道具です。素材となるイヌワシやクマタカが絶滅危惧種になったことで、製作ができない状況にあるんです。自然環境が悪化すると、能の道具が作れなくなる…。生物文化多様性という言葉もあるように、能の道具と自然は根っこでつながっています。道具を通して自然環境と能の関係についても考えていきます。

 

第9講 座学6 鑑賞前に、知っておきたいこと

 講師:川口晃平さん(シテ方観世流)
 
第10講で鑑賞する能「三輪」でシテ(主役)を務める川口さんにお越しいただき、作品の背景やあらすじ、見どころを解説してもらいます。きっと川口さんが濃厚なお話しをしてくれるはずですので、お楽しみに! このお話しを聞くことで、今後、能を見るにあたって、どんな予習をすればいいのかという手がかりもつかむことができると思います。
 

第10講 能を見る2 改めて、見てみよう+能楽師による解説トーク付き感想交換会

 梅若能楽学院会館 7月16日(日)昼公演 能「三輪」、能「自然居士」
 
1回目の鑑賞とは異なる能楽堂で、違う演目の能を見ます。1回目よりも本格的なプログラムで時間もずいぶん長くなります(13時から17時くらい)。以前の自分の感じ方とどう変わっているか、確かめてみましょう。
鑑賞の後は、シテ(主役)を演じた川口晃平さんに登場いただき、解説トーク&感想交換会も行います(約1時間)。

 

第11講 座学6 能の未来に向けて

自分のなかで能というものがどういう存在になったか、みんなで対話をしながら確認していきます。また、室町時代から続いている能が現代でもこうして上演されているということの意義や、変化の多い時代に能は未来につながっていくのか、そして能に必要な道具の製作技術を継承していくために、どんなことが必要なのかなどについて、語り合いましょう。
 


カレッジマスター


 
伝統芸能の道具ラボ
主宰 田村民子(たむら・たみこ) twitter
 
1969年、広島市生まれ。伝統芸能の道具についての取材活動を中心に執筆、調査、復元、講演を行う。2009年より能楽、歌舞伎、文楽などの「伝統芸能の道具」に携わる裏方や職人を支援する活動「伝統芸能の道具ラボ」をはじめる。能のお稽古歴7年。長唄三味線お稽古歴7年。東京新聞「お道具箱 万華鏡」、能楽webマガジンNohプラス「能楽を支えるモノと技」に連載中。
 
▽AERA「現代の肖像」(2022年3月28日)
 歌舞伎の小道具復元に奔走、職人の技術を未来へ
 https://dot.asahi.com/aera/2022032500039.html?page=1
 
 
▼説明会、開催しました。
 
第1回(2023年2月25日)

 
第2回(2023年3月5日)

 
第3回(2023年3月10日)

 
 会場:胡桃堂喫茶店
 
 

 シテ 梅若紀彰 (撮影=山口宏子)
 

 シテ 川口晃平
 

概要

名称伝統芸能カレッジ
テーマ能の扉 ~あなたは能の魅力に目覚めるか!?~
カレッジマスター田村 民子
サブカレッジマスター影山 知明
アシスタント進藤 一茂、大畑 純一
開催時期2023年4月~9月
開催回数12回+α
曜日・時間土曜 9:00~11:00 など
メインキャンパス

・座学は、胡桃堂喫茶店(国分寺)にて。

・他に、各方面ご協力を得て、国立能楽堂(千駄ヶ谷)や梅若能楽学院会館(東中野)をお訪ねし、バックステージツアーや、能の型を体験するワークショップなどを開催します。

参加費

198,000円(税込) → 165,000円(税込)

※本活動に共感してくださる支援者の方が現れてくださいまして、1人あたり3万円(最大36万円)の助成をいただけることになりました。本当にありがとうございます。

※本参加費に、能の観劇料(第2講、第10講)は含まれません。

※その他、費用が発生する場合は事前にお知らせします。

※分割でのお支払いを希望される方はご相談ください。

定員12名
最少催行人数5名
応募〆切※第二次募集を行っております。 2023年3月29日(水)24時
選考

エントリーフォームの内容に基づき、カレッジマスターにおいて選考を行います。
※定員内であっても、お申込みをお断りする場合があります。

・能の世界を、受け身で体験するだけでなく、そこに何か感じるものがあったときには、その先のごく一部分でも何か担い、一緒につくっていく気持ちのある方からのエントリーをお待ちします。

・この講座自体も、受け身で参加するだけでなく、ここでの関係性や場を自身も一緒になってつくっていく姿勢での参加をお待ちします。

選考結果の通知

2023年3月30日(木)24時までにメールでご連絡します。

※第二次募集を行っております。

振込期限2023年3月31日(金)18時
特徴

・能楽愛好者の方々ではなく、まだ見たことがない、見たことはあるけれどよく分からないといった入門者の方々向けの講座です。

・座学だけでなく、実際に作品を見る、裏側を見る、舞台で演じてみるといった機会を通じ、全身(心と体と頭)で能を感じ、味わう連続講座です。

・能の世界を実際につくり、支えている方々と直に接しながら、その肉声や生の体験とともに、能の世界を探訪します。

・毎回、カレッジマスターによる手書きの解説プリントを配布します(予定)。

日程
(予定)

第1講 4/1(土)9:00~11:00 @胡桃堂喫茶店 「導入:能ってなんだろう?」

第2講 4/8(土)12:00~18:00 @国立能楽堂 「能を見る①:実際に能を見てみよう+感想交換会」

第3講 4/22(土)9:00~11:00 @胡桃堂喫茶店 「能楽師って、どんな人?」

第4講 5/13(土)16:30~18:30 @国立能楽堂 「能の世界に足を踏み入れる」

第5講 5/27(土)9:00~11:00 @胡桃堂喫茶店 「古典文学と仲良くなる」

第6講 6/10(土)13:00~16:00 @梅若能楽学院会館 「能をやってみよう」

第7講 6/17(土)9:00~11:00 @胡桃堂喫茶店 「不思議な不思議な、能の音楽」

第8講 6/24(土)9:00~11:00 @胡桃堂喫茶店 「道具を知ればもっと面白くなる」

第9講 7/9(日)9:00~11:00 @胡桃堂喫茶店 「鑑賞前に、知っておきたいこと(能楽師自身による事前解説)」

第10講 7/16(日)12:30~18:00 @梅若能楽学院会館 「能を見る②:改めて、見るてみよう+能楽師による解説トーク付き感想交換会」

第11講 7/29(土)9:00~11:00 @胡桃堂喫茶店 「能の未来に向けて」

第12講 未定 「卒業課題の発表会」


(※日程は変更される可能性があります)
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